女性の内分泌撹乱と化学物質の関係
PFCという化学物質をご存知でしょうか?
PFC(パーフルオロカーボン類)は大気中に極めて安定に存在する化学物質で
その大気寿命は数千年~数万年とも言われています。
強い温室効果を持ち、環境への影響が懸念されたことを受け、
京都議定書(地球温暖化防止)による削減対象となっています。
また、多くの環境ホルモンと同じように内分泌撹乱化学物質としても有名。
PFC類のほとんどは、自然界にあるものではなく「人為的」に作り出されたもの。
そのPFC類の体内濃度が高いと早期閉経の原因になる、ということが
医学誌「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(臨床内分泌学&代謝学)」
オンライン版掲載されました。
PFCは衣類、家具、カーペット、塗料及びプラスチック食品容器、玩具などの
多くの家庭用品に使用されていますし、水、大気、土壌、植物、動物
および生体内にも認められます。
私たちの生活に身近にある内分泌撹乱化学物質なんですね。
今回の研究では、18~65歳の女性2万5,957人を対象に検討した結果、
PFC曝露と女性ホルモンであるエストラジオール濃度の低下、
および42歳を超える女性の早期閉経との間に関連が認められたとのこと。
ある研究では、米国の成人の98%に測定可能な濃度のPFCが認められて
いるのだとか。
研究著者である米ウェストバージニア大学(モーガンタウン)医学部
Sarah Knox氏は、
「PFC曝露と閉経開始の間に関連があるのは間違いないが、
因果関係は明らかにされていない。
1つの説明として、この年齢層の女性のPFC濃度が高いのは、
月経血とともにPFCを喪失することがないためと考えることもできるが、
そうであるとしてもPFC曝露の増加は閉経を招くことを意味しており
臨床的に憂慮すべき問題である」
と述べています。
PFCには、がん、甲状腺障害、心血管リスクの増大や、免疫システムの障害、
血液を汚染するなどの、数々の有害作用のあることがわかっています。
今回の研究から、PFCと女性の内分泌撹乱の間に関連が認められ、
今後、より深い検証が求められるとのことでした。
PFC類は、実は東アジアでの排出量がとても多いと言われていまして、
その中でも、中国は東アジア全体のPFC排出量の半分以上を占める
最大の排出国なのだそうです。
そして、中国に次いで多かったのは日本。
しかし、中国に比べるとその排出量は少ないですし、
日本は京都議定書の参加国ですから削減プログラムがありますので
それによって排出が押えられているのです。
でも京都議定書にサインしていない国では削減されていないので
そこが同じアジア諸国として気になるところです。
産業の発達により、その恩恵を受けるところもある一方で
常に私たちは環境ホルモンによる影響によって健康を脅かされる
という図式。。。。
内分泌撹乱化学物質は、生殖器、精子・卵子への影響が大きく
次世代へ受け継がれる負の連鎖です。
原発の問題とも重なるところが多いにあるように感じますね。。。。
環境ホルモンについてはまた改めて記事にしたいと思います。
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